おきたまラジオNPOセンター・ひとりごとダイアリー

 

 

2015年10月24日(土曜日)朝一部で 晴れ時々薄曇り のち晴れ 午後曇り時々晴れ 夕方から 夜時々

【地域力共創フォーラム:第1部】
 “地域力共創推進コンソーシアム10周年記念:地域力共創フォーラム”の第1部(主催:地域力共創推進コンソーシアム)が山形市内(山形県産業創造支援センター:マルチメディアホール)にて開催されました。

 2006年8月30日、山形市内(蔵オビハチ「灯蔵」)にて、第1回“One Coin 地域力 カフェ”が開かれました。このことは、当時の私も承知していましたが、米沢から「どんな感じなのかな?」と見る程度でした。
 米沢・山形間は、私にとってそんなに遠い距離ではありませんが、夜の開催でもあり、ちょっと躊躇いました。何より、話題提供者が当時の後藤副知事だったことや、テーマが“『One Coin 地域力 カフェ』の可能性”だったこともあり、お堅い感じに映った記憶があります。実際、写真で紹介された会場の様子を見ますと、スーツ姿の人たちが多数写っており、「やっぱりそんな感じかな」と思ったのでした。
 ただ、主催者代表の黒沼さんには、NPOに関するミーティングで話する機会があり、NPO活動でのマネージメントの重要性を教わったものでした。
 黒沼さんは大手(日本を代表する)建設プラント会社に勤務、海外に派遣されては活躍していました。山形に戻ってからは、その経験を活かし、経営コンサルティング活動を行う一方で、NPO活動・市民活動にも深く関わり、まちづくり・地域づくりにも寄与してきました。
 そのためか、なぜか黒沼さんが開いている“One Coin 地域力 カフェ”には、なんとなく興味を持ったのでした。
 ちょうどその当時、私はインターネットラジオ局“おきたまWebラジオ”を開局させ、番組を制作しては放送していました。番組を制作するにあたり、地域で活躍している人たちを紹介したい、という思いがありました。

 “One Coin 地域力 カフェ”は、原則月1回のペースで開かれました。その内容を見ますと、第1回目の時に感じたお堅いイメージではないことがわかりました。逆に、分野に関係なく、地域で活躍している人たちが話題提供者となり、後半は参加者同士が自由に話し合うことができる場であることもわかりました。
 それは、“おきたまWebラジオ”のコンセプトに通じるものがありました。それで、話題提供の部分を“おきたまWebラジオ”で放送できないものか、と考えたのです。
 黒沼さんは快く承知してくださいました。また、話題提供者の方々も承諾してくださいました。こうして、“おきたまWebラジオ”での“One Coin 地域力 カフェ”を紹介する放送が始まりました。番組作りに奔走していた私でしたので、“One Coin 地域力 カフェ”は大きな存在でした。

 しかし、甘くはありません。黒沼さんから話題提供者に指名されたのです。お世話になっている手前もあり、引き受けました。それが2008年2月18日開催の平成19年度では第8回目、通算では第14回目の“One Coin 地域力 カフェ”です。
 テーマは“ネット(Web)ラジオの先駆け者in山形と一緒に語ろう『その可能性と課題』”です。話題提供者は、河北町の兼子さんと東根市の伊勢さん、それに私の3人です。

 話題提供という大任を果たした私は、その後も“おきたまWebラジオ”で“One Coin 地域力 カフェ”を紹介しました。この“ひとりごとダイアリー”でも紹介しました。
 再び黒沼さんから甘い囁きがありました。それは「主催者である地域力共創推進コンソーシアムのメンバーに入ってもらえないか」というものでした。私が毎回のように、米沢から山形へ出向いては、インターネット上で“One Coin 地域力 カフェ”を紹介していることについて、広報の視点から評価されたからです。「こんな私で良かったら」ということで、これまたお受けしました。

 私が2009年より山形県の“だがしや楽校普及事業”に従事することになり、“だがしや楽校”のオフィシャルコーディネーター(普及員)として活動することになってからは、“おきたまWebラジオ”はお休みせざるを得なくなりましたが、“One Coin 地域力 カフェ”への参加と“ひとりごとダイアリー”での発信は、可能な限り続けました。それは“だがしや楽校普及事業”のひとつとしての活動でもありました。

 2011年3月11日の東日本大震災により、3月23日に予定していた平成22年度第9回目の“One Coin 地域力 カフェ”は中止になりました。予定していたものが直前になって中止になったのは、これが初めてです。
 しかし、2011年5月27日には早くも平成23年度の第1回“One Coin 地域力 カフェ”を開催しています。テーマは“『震災の現地報告』を話題にして私たちが取り巻く地域活動の『いま』を語る”です。

 東日本大震災によって、私の活動も大きく変化しました。それは“だがしや楽校普及事業”によって、被災地・避難者支援に貢献できたことが大きな要因です。
 2012年3月をもって、“だがしや楽校普及事業”が終了しますが、その後も私が“だがしや楽校コーディネーター”として活動しているのは、また現在も避難者支援に力を注いでいるのは、そのためかもしれません。なんだかよくわかりませんが、継続しているのです。
 それと同じように“One Coin 地域力 カフェ”との関わりも続いています。

 一方で、黒沼さんのリクエストに、なんでも応えているわけではありません。
 地域力共創推進コンソーシアムに事業のひとつに、“Yamagata 地域力 ステーション”があります。これは『放送メディアを通じてのコミュニケーション』です。具体的には、山形市のコミュニティ放送局“ラジオモンスター”での放送です。月2回の放送で、黒沼さんをメインに、時にはゲストを招いての放送です。
 この番組で、黒沼さんからゲストに招かれたことがあります。いつものようにお受けしました。しかし、事前の打ち合わせで、微妙な思惑の違いを感じ、お断りしました。それは、本来の“だがしや楽校”が持つ意味合いと、皆様が持つ“だがしや楽校”の意味合いとの違いに似ています。どうしても“だがしや楽校”では「昔遊びの場」とか「子どもたちのための場」などと考えられてしまいますが、本来はそうではありません。

 では、なぜ私が“One Coin 地域力 カフェ”との関わりを続けているのでしょうか。
 それは、テーマに一貫性がないからです。なんの脈絡もありません。話題提供者は、NPO活動や地域活動を行っている人だけではありません。企業関係者、学の関係者、行政関係者など実に様々です。まさに産学官民です。分野もまちまちで、子どもをテーマにしたものから、障がい福祉、農や食、ファイナンス、医療・健康、教育、文化・芸能、心理・法律などなど、あらゆる分野に及びます。震災や避難者支援に関することがテーマになったこともあります。
 ここで得られた思いがけない人との出会い、新たな情報との出会いは、私にとって、大きな力になっております。話題提供者がパーソナリティを務めるラジオ番組に出演したこともあります。
 一方、私の考え方とは少し異なる考えを持つ話題提供者もいますが、それは私自身を見つめ直す貴重な機会であると考えています。

 私が考える『地域力』を大切にしたい、という思いもあります。
 私が考える『地域力』とは、“One Coin 地域力 カフェ”で得られた人との出会いや情報を活かすかは、参加者自身ひとりひとりである、ということです。講座やセミナーを受けた人が「自分は地域のために何かしたいと思っているのに主催者は何もしてくれない」というケースがあります。これは「誰かがやってくれないから・・・」と同じです。
 “One Coin 地域力 カフェ”で得られた人との出会いや情報から、自分がやりたいことを見つけ、それを自分の信念として、活動に結び付けることが『地域力』です。
 “One Coin 地域力 カフェ”で得られた人との出会いや情報は、すでに活動している人の場合、その活動をさらに進化させたり、活動の輪を広げるために、活かすこともできます。
 どうしても、それを見出すことができない場合、積極的に主催者に相談すれば良いことです。これだって、自らの行動です。

 そうこうしている内、“One Coin 地域力 カフェ”そして“地域力共創推進コンソーシアム”は10周年を迎えました。私にとっても、ほぼ9年間の関わりとなります。
 この間、いつの間にか、“地域力共創推進コンソーシアム”のコアメンバーとなり、主催者でもミーティングでは好き勝手なことを言っております。また、米沢・置賜地域を中心に、何人かの話題提供者を推薦・紹介したことがあります。

 というわけで、10周年を記念して開催されたのが“地域力共創フォーラム”です。
 第1部はきょう(10月24日)の開催です。テーマは“地域力共創推進コンソーシアムの活動の10年”です。
 ちなみに第2部は11月21日の開催で、テーマは“東日本復興支援の連携・協働の事例に学ぶ”です。これは『住まい』をテーマにしながら復興について語り合い、考えるものです。

 チラシはこちらをご覧ください。

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 きょうの第1部の参加者は22名です。

 はじめに、主催者代表の黒沼貞志さんより「地域力共創推進コンソーシアム活動の軌跡」と題しての事業報告がありました。
 そもそも“地域力共創推進コンソーシアム”は、産学官民連携における《コミュニケーション・プラットフォーム》の再生がコンセプトです。だから、テーマに一貫性がないのです。逆にテーマが偏っていますと、《コミュニケーション・プラットフォーム》とは成り得ません。
 “地域力共創推進コンソーシアム”には3つの事業があります。
(1)One Coin 地域力 カフェ=Face To Face のコミュニケーション
(2)Yamagata 地域力 ステーション=放送メディアを通じてのコミュニケーション
(3)地域力 倶楽部=インターネットを通じてのコミュニケーション
 詳しい報告内容はこちらをご覧ください。
 黒沼さんがこだわり・考える『地域力』についても紹介されています。

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 続いて、基調講演です。
 テーマ:地域活動のこれからを考える
 講 師:川村志厚氏(経営デザイン研究所代表)

 概要をご紹介します。

 地域活動とは、生活圏を共にする人々のくらしをより良くするために行うすべての活動です。それは、地域共同体の人々の生活の質(QOL)を高めるすべての活動とイコールです。

 地域をめぐる環境変化の動向として、次の5項目を挙げました。
(4)文化領域では、文化の大都市集中化が加速し、地方では文化享受機会が減少しています。
(3)社会領域では、人口構造で動態の変化が生じ、それによって地域の過疎化さらに無居住化が進んでいます。また、社会基盤やインフラが老朽化することで、地域QOLが劣化しています。
(2)経済領域では、新自由主義的経済観念の弊害によって、地域経済圏が縮小したり、消滅したりしています。

 ここまで3項目紹介しましたが、ご覧のとおり、川村さんとは順番が逆です。それでは(1)はなんでしょうか。

(1)政治領域では、形式的民主主義による弊害が、地方政治での無力化や貧困化につながっています。

 民主主義と言いますが、私(山口)は今の日本では、本当の意味で民主主義なのか、疑問に思うことがあります。民主主義の限界とも言えます。

 その上で川村さんは
(5)科学技術とグローバリゼーションは、(1)~(4)の既存価値体系における変革を要請している、としました。

 地域力の再興・新生に向けて、地域活動の主体・担い手に求められるものとして、最も大切な役割は「人と人とをつなぐ」ことです。そして、地域に新しい共同体的人間関係を構築することであります。

 「人と人とをつなぐ」は私(山口)も同感です。ただし、そのためには必要なものがあります。

 最後に川村さんは
 活動主体・担い手として「人間力」を高めるには・・・として次の3項目を挙げました。

(1)人間存在の根本原理を学び・理解する
    人間とは、なんらかの価値に依存・執着し、揺れ動く不安定な生きもの
    人間能力の限界 → 認識、意思疎通、身体的・物理的能力
(2)楽観的な心の構えを持ち、交流を楽しむ
    肯定的な関心×共感的理解×主体的洞察力
    受容×傾聴×熟考
(3)相手が求める見えない価値に気づく
    信頼・友情・誇り・見識・志・人柄など → 強固な人間関係の基礎

 「人と人とをつなぐ」には、川村さんが言う「人間力」が必要です。
 そのためには「人づくり」が欠かせません。私(山口)は、この「人づくり」が最重要課題と考えます。「人づくり」が成果を上げれば、本当の意味での国民のための政治となり、自分本位・身勝手な人間は少なくなります。

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 後半は、パネルディスカッションです。
 テーマ:地域力共創推進コンソーシアム活動の成果とこれから
 コーディネーター:川村志厚氏(経営デザイン研究所代表)
     パネラー:齋藤和人氏(山形の公益活動を応援する会・アミル)
          後藤好邦氏(東北まちづくりオフサイトミーティング)
          海谷美樹氏(yamagata1)
          兼子祐喜氏(丸喜屋設備株式会社:河北町)
 そして、私(山口)もパネラーです。

 パネラーの発言概要は次のとおりです。

◎齋藤さん
 特に最近は企業とNPOとのつながり作りに力を入れています。
 楽しく活動することで、地域力は向上します。自由であるのがNPO活動で、いろんなことができる、ワクワクする、可能性があるのがNPOです。
 お金はNPO活動では大切と思います。山形県には基金が、山形市にはファンドがありますが、本来なら民間ベースで仕組みがあれば、と思っています。

◎後藤さん
 ネットワークによって地域活動は広がり、地域力も向上します。
 オフサイトミーティングが成功しているのは、優秀なフォロアーがいる、感動する仕掛けづくりする、誰もが主役になれる仕掛けづくりする、気軽に参加できる自由さがある、ひと言で言えば「共感を発信している」ことです。

◎海谷さん
 人とつながることで、次へのステップにつながると思います。自分を紹介するのではなく、地域でがんばっている人を紹介しているところが、自分の活動と共通しています。継続が力になることも実感しています。
 地域力・地域活動は縁のつながりだと思います。いろんな人と会う場があることは良いことであり、そこから新たな活動が生まれます。若い人たちには「声をかけられたら、やってみることが大切」と伝えています。自分がやりたいことを大切にしています。
 地域活動では、とんがらないことも大切です。自分も大切にしていることがありますが、相手も大切にしていることがあります。

◎兼子さん
 川掃除も地域活動ですが、町興しも地域活動です。
 地域活動には思いがあって行う活動があれば、お金が絡む活動もあります。お金が絡むと大変ですが、地域活動でも企業活動でも「がんばらない」が大切です。常にがんばっていたら、長続きしません。お金も地域活動では大切なファクターです。お金が回れば、長続きします。
 地域活動も、人・モノ・金です。地域活動では企業活動と違って強制力がないため人が集まらないことがあります。しかし、受ける側はきちんとした活動を求めます。そのバランスをクリアすることで継続します。地域活動でもお金は必要です。しかし、「なぜそんなにお金が要るの?」「どうしてそんなに儲けたいの」と言われることがあります。活動資金の必要性を理解してもらうことも大切です。

 私(山口)の発言内容は、前段でご紹介したことがほとんどです。

 パネラーの発言を受けて、川村さんは次のようにまとめました。

 パネラーの方々は、活動を続ける秘訣を話されました。
 楽しく活動する、活動には(良い意味での)緩さ・いい加減さ・幅の広さが必要です。そういうものから人とのつながりが深まり、長続きします。長続きしますと、ある時点で科学反応が起き、地域の力になります。

 参加者とのやり取りでは、私たちNPO関係者が大変お世話になった山形県の安孫子さんからもコメントをいただきました。
 安孫子さんをはじめ、多くの人から話があったのは、10年間にわたり「継続」してきたことへの黒沼さんに対する賞賛の声です。
 また、多くの人から聞かれた感想は「蒼々たるメンバーをパネラーとして集めたものだ」であり「これだけのメンバーが一堂に会して話をする機会は滅多にないことで、貴重な時間だった」というものです。
 私(山口)が蒼々たるメンバーに入るかは「?」ですが、この感想を聞いた時は、ハッとした瞬間です。なぜなら、兼子さんとは久しぶりですが、ほとんどの人たちは、それぞれの場所で、普段からお会いしている人たちだからです。

 学びとは、身近なところで得られることが多いし、しかも、それが実になる学びにつながることが多いと思います。
 ちなみに、兼子さんをパネラーに推薦したのは私(山口)です。

 第1部が終わりました。細かなところで反省点や課題はいろいろありました。
 それでも、コーディネーターの川村さんがきちんとまとめられましたので、フォーラムとしては良かったと思います。

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主催団体:地域力共創推進コンソーシアム(RPCC)は次の団体、 個人で構成されております。
・LLP山形ふるさと企画舎(関連URL http://www.sk-solutions.org/ )
・AISOHO企業組合(URL http://www.aisoho.jp/soho/ )
・蔵 オビハチ「灯蔵」(URL http://ojisho.com/kuraobi.html)
・山形コミュニティ放送株式会社(URL http://www.fm762.co.jp/ )
・おきたまラジオNPOセンター(URL http://okitamanpo.web.fc2.com/ )
・サポーターズ

 本日(10月24日)のフォーラムで、サポーターズの方々には、受付(Tさん)や映像(ビデオ)撮影及びインターネット配信(Hさん)を担当していただきました。

 

本フォーラムのチラシ

 

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