おきたまラジオNPOセンター・ひとりごとダイアリー

 

2019年10月21日(月曜日)東北地方南部の天気:晴れ薄雲浮かぶ のち午後以降曇り 内陸部では朝

【南相馬市・角田市・亘理町訪問記】
 交流がある地域がどうなっているのか心配なため、訪問することにしました。

 はじめに向かったのは、南相馬市小高区です。下の写真は福島県伊達市前川原地内の阿武隈川です。国道399号の橋から撮影です。伊達市伊達総合支所近くです。写真左が下流側、写真右が上流側です。欄干で見えにくいですが、緑で覆われていた河川敷はご覧のとおりです。

  

 “道の駅伊達の里りょうぜん”でひと休みです。下の写真左は道の駅近くでの撮影です。日暈を観測しました。

  

 霊山インターチェンジで東北中央自動車道に入ります。驚いたのは霊山飯舘インターチェンジで出ることができなかったことです。並行している国道115号が土砂崩れで通行止めだからです。福島県内では情報が流れているのでしょうけど、私はビックリです。
 相馬山上インターチェンジで東北中央自動車道を出ます。しばらく国道115号を進みますと、上の写真右です。福島県相馬市山上堀坂地内です。道路の一部がえぐり取られています。すぐ脇を宇田川が流れています。これが水の威力です。怖いです。

 相馬インターチェンジで常磐道に入り、南相馬インターチェンジで出て、小高区に向かいます。

  

 上の写真は、相馬小高神社近くの小高川です。写真左は下流側(東向き撮影)、写真右は上流側(西向き撮影)です。上流側の写真で、どこまで水位が上がったのかがわかります。

 “おだかぷらっとほーむ”と“小高浮舟ふれあい広場”を訪問し、地元の人たちから、いろんな話をお聞きしました。
 小高区では、床下浸水の住宅はありましたが、大きな被害はありませんでした。だた、場所によっては深く浸水・冠水した場所があります。
 小高区では市役所職員が亡くなりました。下の写真が、その現場です。写真左の奥、道路が低くなっています。写真右はその場所に接近したところです。ここでは道路が深く冠水しており、市職員の車は動けなくなってしまいました。その後の経緯もお聞きしましたが、ここでは控えたいと思います。なんとも言えないです。とにかくご冥福をお祈りするばかりです。

  

 南相馬市では、鹿島区や原町区で断水しました。相馬市でも同じように断水しました。浄水場が被害を受けたからです。このため小高区ではスーパーやコンビニから水が無くなりました。また、小高区のコインランドリーには行列ができました。断水は2日前に解消しました。しかし、飲料水には使えない水です。
 地元の人から次のような話も聞きました。
 小高川はその昔、現在の市街地を流れていました。河川改良で現在の流れになりました。このため、小高(の市街地)は地盤が弱いです。東日本大震災では揺れによる建物被害が多かったです。
 私が見た範囲で、きょう(10月21日)の小高区は、少なくても台風19号に関する影響はほぼ解消し、通常に戻った感じです。ただ、10月12日に開催予定だった小高文化祭・小高まつりが中止になるなど、影響は少なくないです。
 個人的に心配なのは、除線されていない地域からの水が流れていることです。小高区ではありませんが、放射線廃棄物の入ったフレコンバックが流れたという情報もあります。

 続いて、宮城県角田市へ向かいます。
 今年の7月20日、鶴岡市で開かれた“だがしや楽校@山王子どもバザール”にて、角田自治センターの人たちをお会いしていました。台風19号では、宮城県丸森町で甚大な被害が発生し、連日のようにニュースで大きく報じられています。丸森町の北隣りが角田市です。ニュースにはなっていませんが、角田市も大きな被害が出ていることがわかっていましたので、非常に心配になったわけです。

 福島県から常磐道で移動し、山元インターチェンジからそのまま県道272で角田市に入ります。トンネルを過ぎますと、広い平地が広がります。右の写真のとおりです。
 左側に見えるのは角田衛生センター(ゴミ処理場)、道路右側に見えるのが角田市総合体育館です。このあたりは運動公園です。この写真ではわかりにくいですが、体育館手前に道の駅があります。周囲の田畑は広範囲で冠水しました。
 角田の市街地は、阿武隈川を挟んで奥になります。写真は西向きの撮影です。

 下の写真が“道の駅かくだ”です。今年(2019年)4月19日にオープンしたばかりです。

  

 駐車場を含め道の駅敷地内では浸水・冠水した気配はなしです。
 ひと休みした後、周囲を歩きます。すぐに目に入ったのが下の写真です。災害ゴミ置き場です。
総合体育館の東側駐車場です。この時間も災害ゴミを積んだ車が次々とやって来ます。スタッフは秋田県の人です。

  

 ここは2ヵ所目の災害ゴミ置き場です。1ヵ所目は満杯になりました。地元の人は「置き方を考えれば、もっと置けたのではないか」と言います。さらに「1ヵ所目は保育園の脇」と疑問を呈しました。
 下の写真左は、運動公園入口です。冠水したことがわかります。災害ゴミを積んだ車はここを通ります。

  

 上の写真右は、運動公園内の角田市陸上競技場です。トラックも冠水しました。このままでは競技はできません。運動公園内はかなりの範囲で浸水・冠水しました。陸上競技場は県道44からの撮影です。堤防近くなので高い位置からの撮影です。その高い位置の歩道も泥まみれです。

 このあとの6枚の写真は、角田橋での撮影です。車道とは別の歩道橋から撮影しました。

  

 上の写真左は下流側(北北東向きの撮影)、上の写真右は上流側(南南西向きの撮影)です。上流側奥が丸森町です。

  

 上の写真左は下流側の右岸側です。上の写真右は右岸側の一角です。樹木で林のようになっている場所です。水位は樹木の最上部まで達しなかったように見えます。

  

 上の写真左は右岸側堤防です。白く連なっているのはゴミです。流されてきたのでしょうか。上の写真右は下流側の望遠撮影です。このあたりの右岸側河川敷は市民ゴルフ場です。プレーできる状態ではありません。

 角田橋を渡り、市街地に入ります。下の写真左は市街地での撮影です。給水車です。方向からみて、丸森町へ向かうのかもしれません。全国各地から支援が入っています。自衛隊の車両も数多く見ました。東日本大震災直後の風景(私は石巻市や郡山市などで体験しました)を思い出します。

  

 上の写真右が角田自治センターです。私のことを憶えていてくださったスタッフの皆さんに出迎えていただきました。まだ、地元の方もおられ、ここでもいろんな話を聞くことができました。

 角田自治センターは、いわゆる公民館です。角田自治センターも床上浸水です。2日前に建物内の掃除は終わりました。ただ、床はまだ湿っぽい感じです。スタッフの皆さん、長靴を履いていました。
 地元の人は「丸森町ばかりニュースになるが、角田市も同様に大変な状況だし、ほかにも大変なところが多々ある」と言います。
 角田市では市街地でも広い範囲で浸水しました。場所によっては数メートルも浸水しました。天井近くまで水没したコンビニまであります。一方で、浸水しなかった地域もあります。浸水した・しないで温度差が出ました。
 角田市での浸水・冠水は、中小河川が溢れたことによります。地元の人は「水門の開け方に問題あり」と言います。水門を開けたことで阿武隈川の水が逆流し、浸水に至ったというわけです。ただ、水門を開けなければ、水は溢れてしまいます。難しいところです。でも、住宅が浸水してしまった人からすれば「どうしてくれるんだ」ということになります。
 地元の人からは避難の問題も出ました。指定された避難所の方が逆に危険である場合があるからです。大雨での避難の難しさを感じます。津波だったら「高台へ逃げろ」この1点だけです。
 角田自治センターでは通常業務がほとんどできない状態です。予定していた行事も中止です。11月に道の駅で開く予定だった“だがしや楽校”も中止です。
 「米沢へ行ったことがある」という地元の人がいました。それもなんと!、私が以前勤めていた会社にです。私が在籍中のことです。それで話が盛り上がりました。角田自治センターのスタッフの皆さんは、研修旅行で米沢を訪れたことがあるそうで、上杉神社などをご覧になったことを話されました。ここでも話が弾みました。
 角田市でも大きくの人の手を求めているようです。地元の社会福祉協議会がボランティアセンターを開設しています。

 下の写真は角田自治センターの隣りにある角田市市民センターです。現在もここで避難生活している人たちがいます。私がここに着いた時、山形県からのスタッフが市民センターに入っていく様子を見ました。

  

 市民センターも浸水しました。市民センター前の道路も、上の写真右のとおり、落ち葉が泥まみれでした。

 最後は亘理町です。5月26日の山形市での“災害被災地応援 うたうべねット山形!チャリティーLIVE”や8月24日の山元町での“てらマルシェ夏フェス2019@避難丘公園”でお会いしていた森加奈恵さん(シンガー・ソングライター)を訪問するためです。亘理町でも広範囲で浸水していたことがわかり、心配になりました。
 下の写真左は、みやぎ生活協同組合亘理店を中心にしたショッピングセンターです。森さんのお店(下の写真右)はその一角です。

  

 ここでも森さんからいろんな話を聞くことができました。
 阿武隈川の河口に位置する亘理町ですが、台風19号での阿武隈川の氾濫はありませんでした。ただ、中小の河川で水が溢れ、このショッピングセンター周囲の田畑は浸水・冠水しました。それでも深刻な浸水・冠水ではなく、ショッピングセンターは浸水しませんでした。少し凹みがある駐車場の中央部は水が溜まりました。
 水はしばらくして引きましたが、鳥の海の堤防が完成しますと、溢れた水の行き場が無くなり、「水が引きにくくなる」と森さんは心配していました。
 私が「角田市へ行きました」と言いますと、森さんの関係者が10月12日に上空から撮影した角田市の写真を見せて下さいました。市街地を中心に広範囲で浸水・冠水している写真です。それは変わり果てた風景でした。

 帰りは柴田町・大河原町の国道4号を通りました。国道4号は冠水もなく、通行止めにはなりませんでした。しかし、周囲の住宅は数多く浸水してしまいました。かなり深く浸水したところもあったそうです。

 3ヵ所を巡って、あらためて強く感じたことは、実際に現地へ行かないとわからないことが多すぎる、ということです。世の中には、現地の本当の様子を知ることもなく、自分の思い込みだけで支援している人がいる、と言います。氾濫する情報だけで、知ったような錯覚に陥る人は少なくない、とも言います。
 私もすべての現地を見ることはできません。でも、情報に振り回されるのか、意識を持って情報に接することができるのか・・・これは、とてつもなく大きな違いです。

 私とつながりのある皆さんが無事だったことが何よりでした。

 

HOME