おきたまラジオNPOセンター・ひとりごとダイアリー

 

2019年12月14日(土曜日)宮城県亘理町・山元町の日中の天気:晴れ 午後3時すぎから西から広がる 亘理町北部でぱらつく

【FMあおぞら&てらマルシェ】
 宮城県亘理町と山元町を訪問しました。山元町の普門寺で開催される“てらマルシェ”を覗いてみるためです。今年の8月24日に開かれた“てらマルシェ夏フェス2019@避難丘公園”は拝見しましたが、毎月1回開催されている(普段の)“てらマルシェ”はこれまで見ていなかったことからの訪問です。
 亘理町・山元町の天気は晴れです。僅かに雲は浮かんでいましたが、青空がいっぱいです。日中は暖かくなりました。12月という実感が湧きません。亘理町に設置されている気象庁のアメダスでの最高気温は14.5℃(14時33分:+5.5℃)です。

 午前9時すぎに亘理町へ着いた私は、みやぎ生活協同組合亘理店(みやぎ生協亘理店)に向かいます。店内に亘理町のコミュニティ放送局“FMあおぞら”のスタジオがある、と聞いていたからです。今年は何度か亘理町を訪問していましたが、きょう(12月14日)は時間に余裕ができ、初めて訪問することになりました。
 みやぎ生協亘理店の店内はかなり広いです。北側半分が食品スーパー、南半分は衣料品などの売り場です。“FMあおぞら”は衣料品などの売り場の奥にありました。

 “FMあおぞら”は2011年3月24日に臨時災害放送局(災害FM)として開局したのが始まりです。運営は特定非営利活動法人(NPO法人)エフエムあおぞら(設立は2013年7月)でした。その後、臨時災害放送局としては2016年3月24日に閉局です。NPO法人としては、コミュニティ放送局へ移行したかったのですが、その時点では町からの協力が得られず、断念します。2017年4月、株式会社エフエムわたりが設立します。ここで、あらためてコミュニティ放送局への動きが始まります。同時にインターネットラジオを始めます。コミュニティ放送局開局が具体化し、2018年3月にはインターネットラジオを休止します。そして、2018年11月27日、コミュニティ放送局“FMあおぞら”が開局しました。

 私が外から眺めていますと、まもなく中から女性の方が出てきました。取締役・局長の西垣さんです。私が「山形・米沢から来ました」と言いますと、西垣さんは「会員になりますと、町内のお店で割引を受けられます」と話されました。早速会員になり、会員カードを受け取りました。
 さらに私が丹波恵子さん(山形市在住のシンガー・ソングライター)と関係があることを紹介しますと、丹波さんを記憶していた西垣さんは「丹波さんの曲をかけますので、リクエストをしてください」と言われました。私はリクエストシートに曲名などを書きました。

 丹波恵子さんが今年(2019年)5月に山形市で開いたチャリティコンサートでは、亘理町のシンガー・ソングライター、森加奈恵さんが出演しました。そこでの森さんのメッセージが強く印象に残った私は、森さんを訪ねて亘理町へ出掛けます。森さんといろいろ話している中、森さんから紹介されたのが“FMあおぞら”でした。当然私は気になっていたのですが、ようやくきょう(12月14日)訪問することができました。ちなみに、丹波恵子さんはすでに一度、スタジオ入りしています。

 私はリクエストシートに記入しながら、コミュニティ放送局について調査・研究をしたことがあるなどの話をしたところ、西垣さんは「このあと午前10時からは私の時間なので、スタジオでお話しませんか」と言われました。というわけで、初めて訪問してから、僅か20分も経たないで、スタジオ入りしました。
 それにしても、初めての見学者・訪問者にも丁寧に対応する姿勢に感心しました。また、臨機応変な対応ぶりにも驚きました。地域の人たちでつくっているコミュニティ放送局であることもヒシヒシと感じました。ほかのコミュニティ放送局とはひと味違うものを感じました。

  

 午前10時から始まった石垣ささんの番組“週末ナビ”は10時55分まで続きました。この間、音楽3曲と数本のCMが流れている時間を除き、西垣さんと一緒にたっぷり話すことができました。
 内容は、私と亘理町との関係から、ラジオの話をしました。臨時災害放送局では南相馬ひばりFMが話題になりました。閉局時には西垣さんが現地を訪問していたからです。私からは米沢のコミュニティ放送局“エフエムNCV・おきたまGO!”のことを紹介しました。
 FMあおぞらでは「NPOの時間」という番組がありますので、NPOの話もしました。
 西垣さんがかける音楽はマドンナなど洋楽でした。それで、音楽の話もしました。西垣さんからの問いで、今年1年の洋楽界についても紹介しました。
 最後には西垣さんにも興味をもっていただいた“だがしや楽校”の話をしました。
 こんな調子でしたので、アッと言う間に時間が経ってしまいました。いくら時間があっても足りないほどです。あとに気付いたのですが、米沢のことをまったく話していませんでした。

 この間、西垣さんから“FMあおぞら”について、いろいろお聞きしました。
 放送は平日が午前9時から夕方6時まで、土日は午前9時から午後4時までです。すべて自社番組です。ほとんどが生放送です。スタジオは意外に(と言ったら失礼ですが)広く、ゲストなどが座る丸テーブルが置かれ、そこではゆったり座ることができる広さがあります。
 事務所の一角にCD棚が置かれています。数百枚と思われます。CDはほとんどが寄付です。放送ではそのCDを使って音楽を流します。パーソナリティが操作します。
 送信アンテナはみやぎ生協亘理店の屋根に設置されています。放送エリアは半径3kmもあるかないかと思われます。スマホなどでも聴くことはできますが・・・
 放送エリアも小さい、放送時間も短い・・・という小さなコミュニティ放送局です。それは地域密着に特化するというコンセプトからです。町内の回覧板で伝えられる小さな情報も取り上げる、地域の皆さんに出演してもらう、という信念があります。とにかく敷居を低くしたいという思いがあります。
 小さな放送局だからこそ、逆にできることがたくさんある、ということを“FMあおぞら”学ぶことができました。

 放送が終わり、外に出ますと、「放送を聴きました。だがしや楽校に興味を持ちました」という方に声をかけられました。

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 山元町へ移動し、普門寺(山元町山寺浜)を訪ねました。下の写真左が普門寺です。8月24日以来の訪問です。ご覧のとおりの好天です。午前11時30分前ですが、かなり暖かくなりました。
 境内を通って、寺の入口に近づきます。「てらマルシェ、やってます」(下の写真中)の表示です。中に入ります。

  

 中は上の写真右や下の写真左のとおり、多くの人でにぎわっています。美味しいものを買い求める人、それぞれのおみせで出品されているものを見ながらお店の人と談義したり体験している人、健康チェックのおみせでは血圧測定している人、飲食を楽しみながら地域の人同士で話している人などなど、それぞれが好きなようにしながら楽しんでいます。その傍らでは、ハーモニカによるミニライブが行われています。それを集中して聴いている人はいませんが、でもなんとなく楽しんでいるように感じます。
 おみせの数も多いです。内容はこちらをご覧ください。ある人は「今回が初めての出店です。和菓子のお店がないということで参加しました。店舗を持っているわけではありません。すべて手作りです」と言います。また、パンを売っている人は「仙台から来ました。普段は事業所などに納めています。みんな手作りです」と言います。いろんなところから来ていることがわかりました。
 下の写真中では、住職さんの思いを感じることができます。

  

 昼すぎ、森加奈恵さんが到着、早速弾き語りライヴ(上の写真右)です。森さんのライヴでも、皆さんはそれぞれに談義しています。私はうっとりとしながら聴いています。
 ライヴが終わり、森さんが来られました。森さんは「てらマルシェは、ここに住んでいた人たちが集まって、話をする場です。『お帰りなさい』という思いがありますので、集中して聴いてほしいという思いはありません。バックミュージックとして聴いてもらうだけでいいのです」と言います。森さんのご主人ともじっくり話することができました。ご主人も昔はバンド活動を行っていたそうです。
 森さんのシンガー・ソングライターとしての活動は震災前後から。それまでの苦労もお聞きしました。「それ以前と同じことをしていたら、こんなに多くの人と出会うことはなかったでしょう」と森さん。「震災は非常に悲しく、辛く、大変なことでしたが、それによってもいろんな人との出会いがありました」とも語ります。

 住職さんが私の脇に来られました。8月24日にお会いした時は「いろんなことに目配り・気配りしており、多くの人と関わっていますので、憶えていないかもしれませんが・・・」と言っていましたが、記憶に残っていたようで、ホッとしました。
 住職さんは次のように話ました。

 大郷町での活動が終わり、今は丸森町で活動しています。外見的にはきれいになり、終わったように見えますが、実はこれからが大変です。まだまだ住めない住宅が多いです。
 台風19号のように、これだけ被災したところが多いと、ボランティアは不足します。そう考えた時、ボランティアだけに頼らない地域づくりが大切です。丸森町の筆甫地区のある集落へ行きました。そこでは地域の人たちが元気で明るい顔をしていました。圧倒されました。
 山口さんがやっている被災地を巡り、その現状を伝えていただくことは、とてもありがたい活動と思っています。これからも、その活動を続けてください。

 逆に励まされてしまった私です。
 毎回“てらマルシェ”のチラシを作っているという方とも話することができました。この方もこれまでご苦労されてきた方でした。人はそれぞれにいろんな歩みをしながら生きています。

 初めての“てらマルシェ”でした。感じたのは1回や2回だけ来ても、その魅力を感じることは難しい、ということでした。どうやら、来年(2020年)も亘理町や山元町に足を運びそうです。

 

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