おきたまラジオNPOセンター・ひとりごとダイアリー

 

2021年4月2日(金曜日)福島県相双地方の天気:午前中は晴れ多めに浮かぶ 午後は晴れ

【浪江・南相馬訪問記】
 慎重派の私です。しかも、山形市を中心に感染者が急増している山形県です。福島県は県民に対し、首都圏などに加え、宮城県・山形県への不要不急の往来を控えるよう呼びかけています。こんな状況では、桜の時期の被災地視察は、昨年に続き、できないもの、と考えていました。
 一方で、往来そのものが問題ではなく、移動先・訪問先・滞在先で、どのような行動をしているのかが問題・・・という専門家の話もあります。
 あれから10年が経過し「だからこそ、現地の状況を自分の目で見たい・肌で感じたい」「これを今後の活動に生かしたい」という思いの強い私は、コロナ禍での活動のあり方を、まずは自ら考えたい、そして皆様にも考えていただければ、という使命感で、福島県の相双地方を訪問することにしました。
 ただし、本来なら最も大切にしたい現地の人たちとの交流は、別途何らかの形で行うこととし、今回は原則控えることにしました。また、宮城県への立ち寄りも断念しました。
 訪問では、万全の感染対策・・・と言いたいですが、「万全の感染対策」って何だろう、という考えから、「できる対策をしっかりやる」ということにしました。出発前には、マスクは複数準備し、消毒液も持参です。もちろん体調は問題なしです。体温は平熱です。

 午前7時すぎ、米沢を出発。米沢から東北中央自動車道で福島へ向かい、東北自動車道の伊達桑折インターチェンジで国道4号線を僅かに南下したあと左折し、伊達市の保原から霊山へ向かい、霊山インターチェンジで再び東北中央自動車道に入ります。
 この伊達桑折インターチェンジから霊山インターチェンジ間は、4月24日に開通することが、国土交通省からきょう(4月2日)発表されました。開通すれば、さらに早い時間で行くことができるようになります。
 相馬インターチェンジで常磐道に入り、浪江インターチェンジで常磐道を出ます。ちなみに常磐道は、相馬インターチェンジから新地インターチェンジ間で、現在も最高速度50km規制が続いています。2月の地震の影響です。

 まず訪れたのが、請戸川リバーラインです。 

  

 上の写真右が請戸川です。この堤防沿いに桜並木です。『ふくしまの遊歩道50選』にも選定されているそうで、約1.5kmにわたり、およそ120本のソメイヨシノが植えられています。特に、ここ浪江町権現堂下川原地内の約200メートルの桜並木は見応えがあります。 

  

 桜は満開から散り始めです。平日の金曜日の日中とは言え、人出は僅かです。2年前よりかなり少ないです。コロナ禍の影響でしょうか。桜の美しさだけが印象に残ります。

  

 浪江の市街地を車で巡ります。更地(空き地)が目立ちます。復興というより、さらに寂しくなった感じです。 

  

 浪江町役場隣りの仮設商業施設“まち・なみ・まるしぇ”を訪ねます。上の写真右では営業を続けていましたが、下の2つの写真のとおりです。閉店したり、移転したりしたお店が大半です。一定の役目を終えた感じです。道の駅がオープンしたことも関係していると思われます。何度も訪ねてきた場所だけに、時間の経過を感じます。

  

 浪江町営大平山霊園を訪れます。請戸地区を見渡せる場所で、慰霊碑があります。元日の朝は、請戸小学校から初日が昇ります。その請戸小学校は震災遺構になりました。

  

 上の写真は、霊園の一角に植えられた宇宙桜です。ご覧のとおり、花を付けました。写真左の右奥が請戸小学校です。

  

 請戸漁港を訪ねます。請戸漁港周辺の道路は整備され、漁港周囲には、上の写真右のとおり、広大な敷地もできました。漁港近くには、水産関連会社の施設も建てられ、営業していました。これまでの工事現場の雰囲気から一変です。言い換えますと、請戸地区は様変わりです。

  

 上の写真は防波堤からの撮影です。もちろん目の前は太平洋です。そして、奥に見えるのが、福島第一原発です。ここから福島第一原発の中心までは約6kmです。

 道の駅なみえを訪ねます。寂しい市街地と違って、ここは人出があります。
 私は感染対策により気を付けます。というか、道の駅なみえの感染対策は、かなり徹底です。昨年8月、関係者が感染したこともあってか、入口には「マスク無しの入場禁止」という意味の表示が駅長名でありました。入場者全員、検温です。
 フードコードも徹底です。例えば4人のテーブル。十字に仕切り板です。完璧遮断です。

  

 道の駅の一角に“無印良品”です。知りませんでしたので、かなりビックリです。道の駅なみえのグランドオープン(2021年3月20日)と同時にオープンです。大きな家具類はありませんでしたが、日用品・衣料品・食料品など、一通りの商品がありました。これは集客に貢献しそうです。

 グランドオープンでは、上の写真左の左側の施設もオープンしました。その一角にあるのが、下の写真です。全国のニュースにもなった、鈴木酒造の酒蔵です。山形県長井市で酒造りを続けてきた町の鈴木酒造店が、10年ぶりに地元・浪江町で酒造りを始めたのです。それも道の駅の中で。震災前の海岸に近い酒蔵もめずらしかったのですが、道の駅の中の酒蔵もめずらしいです。

  

 蛇口脇には“SAKE”の文字が。まさか蛇口をひねったらお酒が・・・なんていうことはないでしょうけど。入口には杉玉(酒林)もあります。

 浪江をあとにして、南相馬市小高に向かいます。

  

 まず訪ねたのは、相馬小高神社です。ここの桜もきれいに咲いています。

  

 下の写真は、小高川沿いの桜です。こちらも見事に咲き誇っています。

  

 小高の市街地を巡ります。写真は駅前通りです。春休みだからでしょうか。静かです。正直、数年前よりさらに寂しさを感じます。なぜなのでしょう。コロナ禍だけとは思えないです。特に気になるのは、小高交流センターがどの程度機能しているかです。にぎわい創出・・などと言っていますが、それが目に見えません。

  

 その中で、今回注目したのは、柳美里さんのフルハウス(下の写真)です。
 道路側に増築し、新たにカフェスペースを設置し、軽食の提供を始めました。写真右の看板は柳美里さん手作りです。中に入りますと、カフェスペースにも本が並んでいました。音楽関係や臨時災害放送局に関する本もあり、立ち止まって、見入りました。

  

 午後2時頃、フルハウスに、2組の地元の人たちが気軽に立ち寄る光景を見ました。地元に浸透しているように感じました。

 南相馬市原町地内では、夜の森公園を訪ねました。

  

 ここも桜の名所です。やはり満開です。ただ、例年なら公園内に屋台や出店が設置されているのですが、今年はまったくありません。それでも、子どもたちが元気に遊んでいました。ただ、よく考えますと、放射線に、コロナ禍に、心配の種は尽きません。

  

 下の写真は、雲雀ヶ原祭場地周囲の桜です。馬場には馬の蹄あとがあります。そう、雲雀ヶ原祭場地と言えば、相馬野馬追です。はたして、今年は開催できるのでしょうか。

  

 帰りは、南相馬市から飯舘村へ向かい、道の駅“までい館”に立ち寄り、さらに国道115号線から伊達市に向かいました。いずれも道も、以前に比べ、交通量はかなり少ないです。
 国道115号線は東北中央自動車道で少ないのは理解できますが、南相馬市から川俣町に向かう県道12号もかなり少ないです。以前は工事車両の通行量が多く、朝夕はそれらの車で渋滞が生じていたほどですが、これも時間の経過ということでしょうか。

 きょうの視察で感じたのは、やっぱり「本当の復興って何?」です。いろんなものが整備されていく中で、逆に寂しさが際立っているように感じます。
 桜開花の異常な早さにも考えてしまいます。
 心配事がますます増えていくように感じてなりません。

 その中で、私ができることとは・・・自問自答が続きます。

 

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