おきたまラジオNPOセンター・ひとりごとダイアリー
夏合戦!はじめや前こども祭り
だがしや楽校@山王子どもバザール
2019年7月20日(土曜日)山形市昼から午後の天気:小雨 鶴岡夕方以降の天気:曇りで一時小雨 夜遅くは晴れ間あり
【夏合戦!はじめや前こども祭り】
“だがしや楽校”発祥の地、山形県山形市のみなみ公園で、午後1時から“夏合戦!はじめや前こども祭り”が開かれました。
はじめや前こども祭り・・・今年(2019年)はきょう(7月20日)が2回目の開催です。1回目はあいにくの雨天で、近くの公民館での開催となりました。しかし、駄菓子屋“はじめや”からは少し離れた場所だったこともあり、子どもたちはほとんど集まらず、学生さんと私(山口)ら大人たちとの交流の場となりました。なんでもありの“だがしや楽校”なら、これでもOKなんですが・・・。それでも、学生さんたちは、遊びがつながり、広がることの面白さを感じた、とのことです。
はじめや前こども祭りは、“だがしや楽校”仲間で東北芸術工科大学卒業のIeさんが、現役の東北芸術工科大学の学生たちの講師となり、開催するものです。わかりやすく言えば、学生さんにとっては、総合学習の一環であります。
1回目の体験をもとに、2回目は「夏合戦」をテーマに、「じっくりつくる」「あそぶ」「激しくあそぶ」をバランス良く構成した3つの「あそび」の屋台だそうです。
しかし・・・です。きょうも山形市は小雨です。
米沢市から山形市へ向かった私も、さすがに心配になりました。現地に着きますと、雨よけのテントを張ったりして、みなみ公園での開催にこだわったようです。結果的にこれが大正解、多くの子どもたちが集っていました。
3つの屋台とは・・・
(1)お水でコロコロ・・・手作り水鉄砲でボールを動かして遊びます。段ボールの橋、紙コップなどの障害物をこえていこう。
(2)だんボールつむつむ・・・いろんな大きさの段ボールをたくさん積み上げて遊びます!
(3)七夕飾りをつくろう・・・ペットボトルをベースに、セロファンやビニールひもを入れてゆらゆら揺れる七夕飾りを作ろう。
それでは、実際の様子を写真でご紹介します。
上の写真左はクリックすると拡大できます。
さて、“だんボールつむつむ”ですが、いつの間にか“ダンボールでボーリング”に変わっていました。少し雨に濡れて、ダンボールがやわらかくなり、子どもさんのアイディアで、ボーリングになりました。ピンは1つ1つ手作りです。
お水でコロコロ(下の写真左)は、子どもたちが水に濡れながらも、楽しそうに遊んでいます。水遊びの世界です。七夕飾りをつくろうは、多くの子どもたちが真剣な表情で作っています。
周りではおかあさんたちが優しいまなざしで子どもたちの様子を見守っていました。こんな天気でもお子さんを連れてくるおかあさんたち。そこには目に見えない人とのつながりを感じます。
それは駄菓子屋“はじめや”のおばちゃんの功績であり、Ieさんの継続の力であり、学生さんの楽しそうな表情によるものです。
午後3時近く、断続的に小雨が降る山形市をあとに、私(山口)は鶴岡市へ向かいます。
【だがしや楽校@山王子どもバザール】
山形県鶴岡市で“だがしや楽校@山王子どもバザール”が開かれました。
“山王子どもバザール”とは“山王ナイトバザール”の中で開かれています。
“山王ナイトバザール”は、鶴岡市の中心商店街のひとつ、山王(さんのう)商店街が、毎年5月から10月の第3土曜の夜6時30分〜夜9時に開催しているものです。今回で、なんと!第153回目です。まさに継続です。この継続で、すっかり浸透し、毎回大にぎわいです。月1回、年6回ですが、日常化しているのであります。夜にこだわっているのは、昔ながらの商店街のにぎわいを醸し出したい、という思いからです。“山王ナイトバザール”の特徴のひとつは、車の通行止めを実施しないことです。言い換えますと、特別な空間にしないことです。大にぎわいになりますので、歩道は人であふれそうになりますが、これも日常化につながります。事故は1件も起きていないそうです。
“山王ナイトバザール”では当初から子ども遊びのコーナーが設けられました。しかし、毎回同じような内容に子どもたちから「飽きちゃった」という声が聞かれるようになりました。そんなある日、古本屋・阿部久書店の阿部さんが“駄菓子屋楽校”(松田道雄書)という本を目にします。阿部さんは松田さんに連絡・・・こうして“だがしや楽校@山王子どもバザール”がスタートしました。2003年頃のことです。“だがしや楽校@山王子どもバザール”は大にぎわいになります。いろんな遊びが体験できること、普段は接することがない地域の人たち・地域外の人たち・学生さんたちと触れ合えるからです。大人同士の交流の場にもなりました。
ちなみに、阿部さんとはNPO仲間でしたが、私(山口)が“だがしや楽校”の世界に飛び込んだ2004年以降は“だがしや楽校”仲間にもなりました。
私が“山王ナイトバザール”を訪ねるのは5月や10月が多いです。7月は今回が初めてかもしれません。今回は阿部さんから案内がありました。今回の“山王ナイトバザール”や“だがしや楽校@山王子どもバザール”には特別な内容があるからです。
夕方5時前、鶴岡市に着きました。曇っていますが、雨は降っておりません。
いつもの調子で市内に入りますと、思ってもみなかった通行止めです。でも、よく考えますと、きょう(7月20日)の“山王ナイトバザール”は特別です。裏道などを通り、なんとか阿部久書店駐車場にたどり着きました。
特別その1です。“山王ナイトバザール”は、鶴岡市の5つの商店街が連携しての“ツナガル夏まつり”としての開催です。これだけでも凄いことです。画期的とも言えます。
このため、内容も盛大です。それで、会場は通行止めとなりました。
チラシでは夕方6時30分スタートとなっていますが、夕方6時前から始まっている感じです。
はじめに、銀座通りから南銀座商店街を見てみましょう。
ご覧のとおりの大にぎわいです。こちらは上の写真中のような飲食スペースが随所に設けられていました。上の写真右は高所作業車体験、下の写真左はパスラボ山形ワイヴァンズ(山形県を本拠地とする男子プロバスケットボールチーム)の選手との触れ合いコーナーです。
さらに、上の写真中は地元の幼稚園児によるパフォーマンス、上の写真右はよさこい演舞です。写真ではわかりにくいですが、よさこい演舞手前では子どもたちが路面に楽書きしています。
こちらは全般にイベント性を感じました。
一方の山王商店街は、歩行者天国になり、大にぎわいでしたが、商店街という雰囲気がありました。下の2つの写真を見てもわかるように、商店街の端から端まで見通すことができました。
下の写真左はフリーマーケットスペース、下の写真中は歌謡コンサート、下の写真右は劇団夢一座路上パフォーマンスです。邦楽ものの写真になりましたが。道幅いっぱいを使ったパフォーマンスは、山王ナイトバザールではめずらしいのでご紹介しました。
これ以外にも、オカリナライブ、ジャズライブ、ギター弾き語りライブなど音楽的にも多彩なプログラムでした。劇団夢一座路上パフォーマンスでは「身近で見られるなんて夢みたい」という声を聞くほど好評でした。
ここから“だがしや楽校@山王子どもバザール”をご紹介します。
特別その2です。
この日の“だがしや楽校”は、山形県の“令和元年介護のお仕事プロモーション事業”として行われました。“介護のお仕事プロモーション事業”は平成30年度に続くものです。
本事業を受託した特定非営利活動法人(NPO法人)公益のふるさと創り鶴岡では、介護のお仕事体験や介護のお仕事プロモーションブース設置を通して、子どもたちに於ける介護の仕事に対する理解を深める活動を展開しています。プロモーションブース設置・・・これが“だがしや楽校@山王子どもバザール”です。下の3つの写真です。
具体的には、車椅子体験、介護食の試食体験などです。介護のお仕事に関するゲームもありました。
介護の世界と言いますと、福祉関係の機関や介護事業に携わる事業所というイメージですが、“だがしや楽校”として取り組んでいることで、私たちみんなが関係していること、という認識を深めることにつながると考えられ、とても意義あることに感じました。これこそが、なんでもありの“だがしや楽校”本領発揮です。
特別その2です。
“だがしや楽校”に新たな仲間が加わりました。東京都荒川区と宮城県角田市です。
東京都荒川区からご紹介します。荒川区では、地域活動の担い手を育成することを目的に、地域社会での自主的な活動に向けた学びの場として、平成22年度“荒川コミュニティカレッジ”(略して“コミカレ”)を開校しました。
その事務局を担った地域文化スポーツ部生涯学習課地域学習支援係の社会教育指導員の方が、“だがしや楽校”発案者の松田道雄さんと出会ったのは、2017年に都内で開かれた学習会でのことだそうです。松田さんは平成21年の社会教育サポーターの全体会で荒川区を訪れていたこともあって、2018年度から“コミカレ”の講師となりました。そこで松田さんから紹介されたのが“だがしや楽校”です。“コミカレ”受講者は早速“コミカレだがしや楽校”を企画・実践されました。
“コミカレ”では今年度(2019年度)は、荒川区の「商店街のにぎわいづくり」をテーマに1年間のカリキュラムを運営しているそうで、9月7日には商店街と連携した“コミカレだがしや楽校 in ジョイフル三の輪商店街縁日大会”で4つのおみせを出すことになっています。これについて、商店街の現場で、実践的に学びたいという思いがあり、松田さんの紹介で、遠路遙々“山王ナイトバザール”への参加となったのです。
この経緯をお聞きして、私(山口)がすぐに頭に浮かんだのが、杉並区の“すぎなみ大人塾”です。ここでも“だがしや楽校”を通した学びと実践が行われました。そのことをお伝えしますと、杉並区のNさんらの名前が出てきました。さすかです。交流ができているだけでも「凄いな〜」と感じました。ちなみにNさんは、杉並区だけでなく、地元西東京市のNPO法人による“だがしや楽校”にも関わっています。
下の写真が荒川区のおみせです。1つは加茂水族館のクラゲをイメージした手作りクラゲを作って釣るという遊び、もう1つは昔遊びの割り箸ゴム鉄砲です。素朴な遊びですが、これが現代の子どもたちには新鮮かな、と思います。そして、こういう遊びが、子どもたちと大人(地域の人)、しいては人と人とをつなぐことができると感じました。的に当たったり、釣り上げた時の子どもたちの表情は、強く印象に残りました。加茂水族館の思い出を語ってくれた親子もいたそうです。
途中雨が降ったため、荒川区を紹介する写真などの展示は途中まででしたが、遊びの内容と荒川区とのマッチングが逆に興味をそそりました。
宮城県角田市では、角田自治センターのあり方について検討していました。それは、少子化に於ける公民館のあり方であり、地域でのつながりづくりのために、公民館として何をしなければならないか、ということです。そうした研修に取り組んでいる中、2018年8月に松田道雄さんと出会いました。そして、松田さんによる学びをとおして、まずは「やってみよう」となります。
今年(2019年)11月、道の駅のイベントで“だがしや楽校”を開くことを計画、松田さんの紹介により、事前研修・実践・体験のため、“山王ナイトバザール”への参加となりました。
角田市には独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究施設である角田宇宙センターがあることから、遊びは“君も宇宙飛行士コーナー”と“ダンボールロケット体験コーナー”です。君も宇宙飛行士では宇宙服を着ることができました。ダンボールロケットはダンボール箱を叩いて、空気圧でコップを組み合わせて作ったロケットを飛ばします。これが大人気で、子どもたちの歓声が響いていました。ほかに、地元のお菓子屋さんの揚げていないドーナツも販売していました。見事完売したそうです。
鶴岡の“だがしや楽校”といったら、欠かせないのが中村さんによる紙芝居です。
おやおや、きょう(7月20日)はいろんな人が口演しています。
なんでも、酒田市・川崎市・新潟県三条市から紙芝居の人が集ったそうです。中村さんによりますと、このような取り組みは今年(2019年)から始めたそうです。ますます広がる紙芝居の世界です。きょうは各商店街をまわって口演しました。
というわけで、いつも大にぎわいの“山王子どもバザール”なのですが、きょう(7月20日)はさらに輪を掛けての大にぎわいです。
このにぎわい・・・実はこれまでの長年の積み重ねがあるからです。先にもご紹介しましたが、“山王ナイトバザール”は5月〜10月の第3土曜日に必ず開いてきました。これが日常につながりました。だから、毎回大にぎわいになるのです。
中心商店街の問題は、私が住む米沢もご多分に漏れずです。この問題を考える特効薬はありません。日頃の「努力」ではありません。「思い入れ」です。“山王ナイトバザール”は商店街の思い入れが「日常」につながりました。
途中「少子化」という言葉も出ましたが、身体で感じる「思い入れ」を構築できるか、にかかっていると思います。“だがしや楽校”は、そこに於いても、大きな可能性があります。
“だがしや楽校”で最も大切なのは、“だがしや楽校”を開いている人が楽しいことです。なぜなら“だがしや楽校”は、自分の好きなこと・得意なことをやって良い場だからです。
「楽しい」場所や人に、人は集い、そこに地域のコミュニティが築かれます。
このことをあらためて実感した“だがしや楽校@山王子どもバザール”でした。
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